RUIN

さよなら、月の

人の隣で生きること

 都会一人暮らし言うと田舎で過ごすより孤独感を感じそうなものだけど、実際はそうでも無いのかもしれない。閉塞的な環境下の息苦しさも、常に人の隣で生きているからこそなのではないだろうか。

 たまの休みにこうして地元を離れると、あまりの人の多さに呼吸を忘れそうになる。正確には「呼吸のタイミングが掴めなくなる」だ。すれ違った人にこの喉の詰まりを勘づかれているのでは?とすら思い込んでしまうほどに、人の波は私の心を追い詰める。

 

 あるバラエティ番組で、上京したての女子大生が「人が泡だ」と言っていたのを思い出した。街に溢れる誰も彼も、一度すれ違った時点で繋がりは消える。浮かんで弾けて消えてしまう泡も、同じ泡と出会うことは二度と無い……そう考えれば詩的な表現だと思う。他にもよくある例えで、「人がゴミのようだ」がある。私はこっちの方がずっと自然な感想だと思っている。だって、何千何万という人間が一度に視界に入った時、いち人間として感情移入をする事はとても難しいことなのではないだろうか?「幾万のゴミを見つめる私」ではなく「同じく幾万の泡になる私」になる、その捉え方の違いは一体どこから来るもののせいなのだろうか?

 モヤモヤしながら人波をかき分け、たどり着いたデパート*での服屋でトップスを手に取った。気が付くと店員が隣にいる。

 

*少し話が逸れるが、ショッピングセンターというのは田舎臭くて嫌だ。デパートというと年寄り臭く感じる。「それでも都会の人々はたくさんのテナントが収容された何階にも連なる建物をデパートと呼ぶのだ、ちなみに田舎にデパートなんてひとつもあらへんねん……」そう教えこまれてきた。私はずっとそれを信じて生きてきた(それはそれでどうなんだ)。だが蓋を開けてみれば、こんな田舎にも一応デパートと呼ばれるものはあるらしいし、今までデパートと呼ぶ店の例として教えられてきたもののいくつかは、正式には「大型ショッピングセンター」だった。嘘ばかりの世の中である。

 

「こちら色違いもごz」

「い、いえ。結構です」

 手に取っただけで?話しかけんな!オーラを出しているだろうが。

……雑貨屋を訪れる。

「可愛いですよね、私も持ってるんです」

 見ただけで?話しかけんな!オーラを出しているだろうが。

……文房具屋を訪れる。

「大変スマートなフォルムになっていて」

 オーラを以下略。

 ここは全てが干渉される場所なのか。人の輪ってここまで早く展開出来たっけ?と感心しながら、数多の優しさや気遣いや忖度で血の滲んだ喉を労る。でも、この痛みが何より孤独でない事の証明足り得るのではないかと痛感する。きっと暖かいのだろう。

 泡にはなりたくないけれど、将来は、一人暮らしをしてみたい。

Heaven's_Feel 2章 根源の地の観測者

  •  ネタバレ有り

 

 本当に、あの1章を超える作品を見ることが出来るのだろうか。本当に、あのクオリティのまま2時間を過ごすことが出来るのだろうか。期待と、それから疑問を持って劇場へ足を運んだ。

 

 1章は登場人物へのマイナスなイメージを持たせないよう、士郎の主観的な表現が多いような気がした。("今はまだ")全員に平等な正義の味方が誰かを特別に良く、誰かを特別に悪く見ることは無いから。ヘイトが集まってしまうであろうシーンも、士郎という正義の味方の目を通す事で比較的心穏やかで居られたのだと思う。 

  2章では、前半は比較的戦闘シーンがぶっ続けで、前回のセイバー召喚時の様な思い切ったカットは特に無かった。

 そして、客観的な演出が多かった印象を受けた。セイバーオルタとバーサーカーとの戦いで、無駄に士郎やイリヤが手を出すこと無く、そのおそろしく強大な力を持つサーヴァント達の戦いを少し離れた場所で見ることで、セイバーオルタをより悍ましい存在の様に感じさせる。原作中の表現では、「いやどう考えてもお前もレンジ入ってるから!!」というシーンがどうしても存在している。正直2章でも、爆風の大きさ的にその距離でも怪しいのでは?というシーンがあったものの、前述の様にセイバーオルタの圧倒的な攻撃力を目の当たりにするという点では良かったのだと思う。セイバーオルタは絶対にメディアミックス補正で原作の何倍か強くなってた。(り、凛ちゃんが宝石使ってたんだよ……)  (対城宝具なのにとか言わない)

 戦闘終盤、イリヤは我慢出来ずにバーサーカーと叫ぶ。バーサーカーイリヤの声を聞き、覚醒したかの様に再び戦闘を続行する。対して、バーサーカー撃破後にセイバーオルタが士郎の元へ来た時に、士郎もセイバーと叫ぶが、セイバーオルタは応えてはくれない。彼女はもう彼の知るセイバーでは無かった。大きな対比と、小さな対比。沢山散りばめられているそれが、物語の大きさを語っているようだった。

 2章からは、士郎達が本格的に戦闘に巻き込まれ、サーヴァントという人ならざるものの力や在り方を実感する。体も心も、日常と平穏から遠のいていく。故に、思わず顔をそむけたくなってしまうシーンも多かった。冒頭、1章のラストで出会った黒い影が士郎を阻む。それに飲み込まれ(た?)そうになった時、これ以上無いくらい醜いものを見たというように恐怖で体を捩らせた。この時点ではまだ影が桜と似ているとは感じていないようだった。勿論士郎が桜に影の時のような反応をすることは無い。例え、桜が影だと気付いても。終盤で"桜の"影を見て、「気付くな」と自分に言い聞かせるシーンがある。気付いてしまってなお、彼女を抱き締め、知らない振りをする。序盤の反応を見た私達からすれば違和感しか無いと思う。敢えて例えるのなら士郎のあれは、ゾンビ映画で一番最初に転んで襲われるモブキャラだ。ありえないくらい叫ぶ、主人公の親友の友達ポジションの。そのモブキャラがゾンビを抱きしめられるかという話である。HFでは特に、それくらい狂っている。「桜だけの正義の味方」という言葉の重みを嫌という程突き付けられて、このロボットはどうしてこんなに必死に人間の物真似をするのだろうかと頭が痛くなる。

 

 それから、間桐慎二の掘り下げだ。つくづく、繊細な演出に惚れ惚れした。元々ファンの間でも好き嫌いの激しかったキャラだが、勿論固定ファンもある程度いるし、原作・今までのアニメやマンガのメディアミックス……私はどれも見ても嫌いにはなれなかった。そして劇場版第1章。むしろ、もっと好きになれた。今まで公開されることのなかったシーン。言葉は少なく、それ以上に目で交わされる会話。自分勝手で皮肉屋で、でも影では人一倍努力をしている慎二……ちなみに劇場版では、途絶えた間桐(マキリ)をなんとか継がせようと奔走する姿が少しダーティー__なんというか、魔術と向き合うにあたっての過酷な面がピックアップされていたが、コミック版では比較的楽しそうな面が見られる。幼い頃の彼が現在に至るまで、併せて見てみると面白いかもしれない。

 

以下は1章を見た時点での慎二と士郎の関係性のメモ。

大切なもののランキングを1~10で表すとしたら、多分慎二は1か10しかないんだと思う。たくさんの1と、ほんの少しの10で世界を作り上げている。他の人達は1から10までバランスよく割り振る。1からランクアップしていって、ずっと1のままのものは忘れ去られて、また新しい1が出来る。慎二に近づきたい女の子は、その1に入れた事が嬉しくて、きっと私もいつかは10になれるんだとそう思う。でもそうではなくて、ずっと1のまま。慎二は自分の中のランキングを一番最初に決めてるんじゃないのか。きっと、文化祭の仕事を手伝ったあの日から士郎は慎二にとっての数少ない10、だった。士郎もそれを分かっていたような雰囲気がある。士郎もまた慎二を大切に思っていて、慎二もそれを分かってた。でも、たったひとつだけすれ違いがあった。士郎の世界は、10だけで出来ていた。元々1なんか無い。全てを救おうとする人間が物事にランキングを付けるわけが無かった。

 

 例えば、仲良くしていた女の子に告白されて付き合ったものの、その男の子には彼女が沢山いて、その男の子が言うには「僕は全員平等に愛しているんだ!」みたいな。しかもそれが本当。同性同士の問題を異性関係に置くと違和感あるかなと思ったけど、そんなに無いじゃん……

 

 本題に戻るが、私はなんだかんだで間桐慎二の事を嫌いになれずにいた。しかし2章、お前だよ!お前お前お前!前述のように、客観的な演出になっているせいで、士郎の正義の味方フィルターが外れてしまっている。女を傷つけ、実力不足をサーヴァントに押し付け醜い言い訳をする慎二を好きのままでいられるファンが一体どれだけいたのだろう。Fateの登場人物というのは、良くも悪くも、揃いも揃って我慢が得意な人が多いと思う。士郎、凛、桜、ライダー……彼を取り巻く人達は何らかの形で我慢をしているというのに、いとも簡単にその限界値を超えプッチンしてしまう慎二がとびっっっきりヒールに描かれている。その後、凛が遠坂の管理者として桜を殺すと決意する時。同じヒールでも印象は180度違う。その上、そもそも桜が暴走したのは士郎を助ける為に凛がアーチャーを従えて突入。正規ヒーローからヒールへの暗転……脚本家の指揮はどうなっているんだ。天才にも程がある…… 

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  一応慎二の弁護をしておくと、士郎、凛、桜が自分には到底理解できない話をしている。それが彼にとってどれ程苦痛だったのだろう。ここの蚊帳の外に出されている演出が最高に上手かった。慎二が嫌いなものは「無条件の幸福」。彼は士郎がどれだけの鍛錬を積み重ねてこの戦いに挑んでいるかを知らない。凛がどれだけ魔術と向き合い、戦ってきたかを知らない。背骨にナイフを突き刺すような鍛錬も、魔術刻印の拒否反応を抑える為の努力も、遠坂としての生き方も。……どうしてアイツは、魔術師でも無いのにマスターなんだ。アイツはご立派な家の出なのだから、強くて当然だろう。いい教育を受けて、マスターになる為に育てられて……寧ろそう思っていたことだろう。彼の嫌いなものそのものだ。……しかし。自分は桜の力を借りて魔術書を使うことでしか魔術を扱えないのに、いきなり自分を殴ってきた士郎には間違いなく魔力が宿っていた。魔術師でないと思っていたかつての友人は、魔術を扱うものだった。それを知った時の彼の心情を理解出来るものがいるだろうか。

 1章を見直して分かったのは、桜が暴走するきっかけになったイヤリング、ライダーが士郎を助けてる間に慎二が作ってた。一瞬笑っているようにも見えるけど、やっぱり顔をしかめる。どういう意味なのだろう。桜への贖罪のつもりなのか、やはり自らの境遇への憤りなのか。自宅で桜を襲おうとした時も、「僕とどれだけ醜く交わったか」という表現をしていた。桜へ怒りなり何なりを抱いていれば、「どれだけ醜く乱れたか」だとか「どれだけ醜く喘いだか」といった表現になるのではないだろうか。わざわざ"僕と"なんて言葉をつけて"交わる"と言うことでお互い様だと言うような物言いに、桜本人への怒りはあまり感じられない。図書室でも「みんな桜のことばかり(要約)」と言っているように、「自分がこんな思いをするのはお前がいるからだ、みんながお前に失望すればいいんだ」みたいな幼稚園児みたいな発想があるように思える。(間桐シンジくんは八歳だし、仕方ないね……) 

 ちなみに言峰が桜を助けた時に、魔術刻印を全て使ったと聞き凛が頭を抱えるシーンがある。原作では詳しい説明があるが、劇場版では省かれていた。魔術刻印とはその家の歴史そのものなのだ。生涯をかけて育て、自分の子孫の為だけに残すもの。それを言峰はいとも簡単に全て使ってしまった。もう少し掘り下げて欲しかったとも思うけれど、頭を抱えるという事で重大さを表現出来るのはアニメならではの強みだ。それを踏まえてライダーへ放った「だってあの人、私より弱いもの」発言……桜は士郎が桜を殺そうとした翌日、ライダーに「先輩を殺さないでくれてありがとう」とも言うけど、なにか違う、ライダーへの感謝というよりも独白に近いもののように感じた。それから「兄さんは約束を破りました。先輩は殺さないって言ったじゃないですか」というセリフ。正直、何を言っているんだろう、と思った。他ルートを見てきた私達からすれば、ライダーに負けてしまう士郎とセイバーで無いこと、士郎の潜在能力が嫌という程分かっている。加えて桜自身、「先輩は、きっと私たちの誰より強い」と言っている。ライダーの正式なマスターである彼女が、慎二が士郎を殺せるだなんて思うわけがないのだ。それなのにわざわざそんな約束をしたのは一体何故なのだろうか。

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 桜(影)の捕食シーン。桜には意識が無い、という表現を今までに無いメルヘンワールドで描きあげた。桜ファン大歓喜の可愛いドレス。醜い影を、綺麗だと喜んで身に纏う。それを纏うことを良してしまったが故に影に呑み込まれることになってしまったのかもしれない。次から次へと、誰に言われるまでもなく捕食を進めるそれはエリザベート・バートリーの「誰も教えてくれなかったじゃない」に通ずるものを感じた。

 

 1章の時から感じてはいたけど、空が強調された演出が多い。アーチャーが影に飲み込まれた後、空がこれまでに1度も無かった深紅と青に染まった。本当に驚いた。まるで、この街・冬木の行く末を描いているようだった。これは1章を見ていた時の空についてのメモ。

紫の空が多くなっていって、"桜の街"感が出てくる。

さっきの紫の夕暮れのすぐ後、セイバーと士郎の距離が縮むシーンがあるんだけど、夜が開けていって青が多くなるの本当にエモい。セイバーの為に用意された空。

 

冬木は見ている。この街の未来と、マスターの最期を。根源に至るその日を掴むのは霊脈だけでは不可能だ。だからこそ、彼らの歩みを、戦いを、祝福しているのかもしれない。

 

書くまでもないと思ったけど一応……本編とは関係ないこと

エンドロール、彩色・蒼月タカオ で泣かなかった人いる?絶対いないと思う……あと花の唄って最初にノイズ?みたいな音がある気がする。I beg you、夢の中のメルヘンワールドからの黒桜の流れで持ってきたのやばくない……化けすぎだろ……全体的に桜の在り方、黒桜の本質をそのまま歌詞にした曲だけど原作では終盤凛に諭されるんだよね。花の唄ではサビまでが影の心の内、サビからが黒桜の本音みたいな印象があるし最終章の曲では凛への感謝みたいな歌詞があってもおかしくない……

 

 

 2時間はあっという間に過ぎてしまった。奈須きのこ公認の桜研究家、須藤監督にしか出来ない作品だった。「そういえば原作はエロゲだよねw」なんて言われていた作品にここまで絶対的にエロの必要性を感じさせるとは。……良くも悪くも、メディアミックスとは取捨選択で出来ている。原作ファンの思いを受け止め、完璧な形で完成させたスタッフに最大限の敬意を。

 


 

劇場版Fate/heaven'sfeel1章の感想

⚠️ネタバレしか無い

⚠️ほぼ箇条書き

 

ufotableの作画、エフェクトとか背景が綺麗なのは分かってたけど人間味が薄いような気がしてた。この作品では全くそんな事無くて、寧ろ少し大げさなくらいに感じた。普段注意して見ていない動きとかもしっかり再現してる。寝落ちから覚めた時の動き、首を振った時の髪の動きとか細かくてびっくりした。

・低めの身長で胸の大きい桜は、スラっとしてて細めの藤ねえと並ぶとすっごいバランスが良い。黒セーラーだと着痩せして見える気がする。

・士郎が思ったよりムキムキ。慎二くんと身長同じ、体重1キロ違いなので、慎二くんにその分肉があると思うと萌える。

・原作に無いシーンがかなり追加されてる。「自分の鍵を、あまり使わなくなった」って表現好き。サンタコスの藤ねえは見どころ。お酒飲んだ藤ねえ可愛いなぁ……そして当たり前のように桜の隣に座る士郎。

美綴の出番が結構多い。弓道部時代のシーンが多いからだと思うけど。

・スーツの藤ねえ……

・夕暮れの色合いが全部違う。

オレンジ~赤みたいな燃える夕暮れじゃなく、ピンク~紫みたいな夕暮れが多い。切嗣に助けられた時のあの炎を連想させないようにかな。

・士郎が割と初めから桜にデレデレ。凛ちゃんとの"共闘仲間"感が原作より強い気がした矢先に士郎が吸血の夢を見たのでこの文章はボツ。

・慎二の無言の表情カットが多い。すごく滾る。

・……藤ねえのズッコケ授業シーン入れてくれないの……?

・士郎、真っ先に慎二のこと考えるあたりやっぱり仲良かったんだなと思い知らされる。

・士郎の「ハハッ」って笑い乾きすぎてて怖い。

カットの仕方が斬新。セイバー召喚と凛ちゃんとの出会いを描かないことで"桜の為のルート"感がより濃くなってる。こんなカット初めて見た……

・綺礼の髪がふわふわ

・"生きている限り聖杯戦争に巻き込まれる"みたいな表現が多い。

イリヤの「サーヴァントが覚えているわけないわよね」そういえばセイバーってイリヤのこと知らなかったっけ?

バーサーカーのサイズが割とコロコロ変わって草

・「誰かの味方になると言うことは、誰かの味方をしないということなんだ」わざわざ遠回しな言い方で敵という言葉を使わなかったのは、その人次第でなる事もならない事も出来るということか、教えてくれなかったのかが気になる。

・セイバーの生と聖杯への欲望が強い。なんかがめつい。

・士郎の「あんな子供も参加しているのか……」でセイバー顔伏せるの、ライダーが見てるのに気づいたからかと思ってたけど、自分もそんなに年齢高くないからなんだろうか……

・ライダー、美綴がケガしないように凄く丁寧に寝かせてる。

・「当然だろ?」の所、慎二も間桐なんだ!と悲しくなる。

・あの本が燃えたの、紫の炎って事は魔術によって燃えたのか。

・慎二、士郎のことが嫌いじゃないからこそ自分の嫌いな性格の士郎が許せないのかな。

・凄いことなんだけど、士郎って自分の性格そのものとその元になった切嗣を慎二とセイバーに否定されてるんだよね。それでも慎二は士郎を嫌いになれず、セイバーは士郎には心を許し信頼している……

・慎二、「無条件で幸せな空気」が嫌いらしく、作中さほど描写されてないけど優等生なんだよね。私はそれを慎二の努力あってのものだと思っていたんだけど、wikiにはさほど努力していなくても成果を得られると書いてある……関連性は無いのか……へぇ……

・紫の空が多くなっていって、"桜の街"感が出てくる。

さっきの紫の夕暮れのすぐ後、セイバーと士郎の距離が縮むシーンがあるんだけど、夜が開けていって青が多くなるの本当にエモい。セイバーの為に用意された空。

・凛と士郎、屋上直座りじゃなくてベンチになってる……!!しかも冬なのにクソ寒制服コーデじゃなくて可愛い真っ赤なコートになってる……!!良かった……!!

・慎二の胸倉掴むシーン、ビンタするかそうでないか選んだような気がするけど、慎二くんに煽られてデコぶつけられる……になってる

・夕暮れバックのハサン、空が真っ赤なの皮肉。君も四次サーヴァントだったか……

・士郎が高跳の練習してるシーンの空が真っ赤なのは原作に基づいてかな、と思う。

・なんで綺礼のハフハフシーンカットされてるんだ……レーディング引っかかるからか……でも中華娘のボイスまでカットしなくても……

・柳洞寺、思ってたより階段が長い(原作で省略されすぎ)

・麻婆シャバシャバじゃん!!

・戦闘シーン以外ほぼBGMが無い!原作では絶対にねじ込んできたのに!!

・這うことも飛ぶことも出来る刻印虫、なんなんだ……

・全員が選ばれし英雄!って感じする 良い風潮

士郎、無意味なバク転はやめた方が良い。

刻印虫さん士郎に甘くない?もっと雁夜おじさんの時見たく手厚い歓迎お願いしますよォ!

・桜ちゃんに白シャツを着せた制作班有能……

・これ、「桜ルートが好きな人」より「ステイナイト」が好きな人のための映画だな……どのルートのいい所もよりどりみどりだ……

・慎二くんが魔術の勉強してるシーン重要すぎる 望みはあるのか?!

・めっちゃ巻くけど尺そこまで足りないのかな?

・zeroの時より修練場広がってるね。リフォーム業者に頼んだの?

・他のルートで桜ちゃんが気づいてなかった(気づいてないフリ?)のやっぱり天文的な確率でしょ……

・TROYCA(事件簿制作する会社)も関わってた

・最後まで梶浦さんの曲が言いに尽きる……

 

・heaven'sfeel、桜のための物語でもあるんだけど必然的に慎二にもスポットが当たっているのが慎二大好きマンとしては非常に嬉しい。

"必然的に"という事は、元々彼らが深く関わっていたということであり、三本の糸が絡みついていたはずがいつの間にかバラバラになってしまったみたいで悲しい。

 

 

他のルートのアニメ見るか原作やってないと分からない内容だったのでこれも

 

 

新年早々3周してる暇があったら詰んでるゲームと本消化したかったし、何より宿題をしたかった。まぁ宿題は見てる間にすれば良かった。でも本当によく出来ていて、言葉では表せない感動があって、改めて本当に見てよかったと思った。あと数日で2章が公開されるこのタイミングで地上波を放送した運営賢い。

Everyday虚言2

暇で暇でたまらない人とかじゃないとオススメできない記事

 

そろそろ同級生からの特定を承知で記事を書く季節になってきた。

 ……いや、やっぱり嫌。私を特定した誰かは、今すぐブラウザバック、履歴、Cookieの削除をするように。

 そういえば昔、体にパソコンに内蔵したものと同じマイクロチップを埋め込み、生命活動が停止したと同時にパソコンのデータが全て消えるというプログラムを真剣に考えるスレを読んだことがあるな……(どういう締めくくりだったか覚えていないけれど、私はスマホからこの記事を書いているのでどうしようもない)

 比較的簡単に実装出来るもので、フェイクのパスワード入力ページを用意して、引っかかった瞬間にパソコンのデータの削除を始めるというものもあるらしいので(うっかりのリスクが大きすぎる気がしなくもないが)気になる人は検索して、どうぞ。

 

 

 こんなタイトルを2度も掲げているものの、私は謙虚で誠実なことで有名である。

 

 

 

 時は遡り、あれは七月の事だった。暑い暑い夏の話。部活が終わって疲れきった私が、まさにこの道を曲がれば家に着くというその時、同級生とエンカした。遭遇……とは言っても会って話をしたわけでもなく、ただ自転車で走り抜けた道に同級生がいたというだけである。そもそも彼、彼女とサシで言葉を交わしたことは一度もなかった。そう、彼らは二人で、最近誕生したアベック(死語)その二人で私の家路を遮っていた。私の家の近くにある大きな川。それを跨ぐこれまた大きな橋に、彼らは2ケツしていた。

 いや、何。別にどうってことはないさ。付き合ってる人なんて学年に何人もいた。いやでもしかしこの狭い空間、バチバチに交わされる視線__居心地が悪くならない人なんていないだろう。私も、例によって早くこの場から立ち去りたいと思う一人であった。もう一人は一緒に帰っていた友人である。何事もなかった素振りで帰りたい願う私の心とは裏腹に、何故か自転車はキイィィ……とスピードを落とし停止した。おい、ふざけんなよコノヤロウ。嘘だろ。「お前バカ?」と言わんばかりの友人の視線が容赦なく私の横顔に突き刺さる。待ってくれ。違うんだ……その橋の手前は少し上り坂になっていて、スピードは必ず下がってしまうんだよ。そこで驚いてブレーキをかけてしまったものだから、自転車が完全に止まってしまったと言うわけさ。と声を出し説明も出来るはずがなく、数秒間お互いを真顔で見つめ合うという地獄の空間が顕現してしまったわけだ。その時彼、彼女は本当に、いや本当に「早くどこかへ行ってくれ」と願っていた事だろう。ここから早く立ち去らねば……そう思う傍ら、2ケツしたまま橋の下の川を覗き込む二人を見て頭に残る過ぎったのは、幼少(たかだか5年ほど前の話だが)の頃の思い出だった。

 

 話は変わるが私は昔、観賞魚が好きだった。グッピーだかとかベタだとか……本当はカラフルな魚が飼いたかったのだが、許可が下りなかったので川で捕まえた魚をバケツに入れて飼育していたのだった。そんな私を見て、祖母はアクリル製の水槽とエアポンプを買ってきてくれた。アクリル製とはいえ、そこまで安物ではないしっかりとした出来だ。嬉しくなった私は水槽を見つめ、この子達に仲間を連れてきてあげようじゃないか!と、従兄弟を引き連れ新たな川魚の捕獲に勤しんだ。

 とあるケーキ屋の前の用水路で、虫取り網を使って乱獲(語弊)したこともあった。それが一番、効率がいい。だけど私を興奮させたのは、あの橋の下にペットボトルで作った罠を仕掛ける瞬間だった。こっちは効率は悪いし、なにより面倒くさい。2ℓサイズのペットボトルを半分に切って逆向きにくっ付けて、石と魚の食べそうなものを入れておく。底に穴をあけ、ロープをつけて、川に投げ入れる。ロープを橋にくくりつけて放っておくと、一〜二時間もすればそれなりに獲物がかかっている。かなり面倒くさいけど、大物がかかる確率が高い。用水路よりは、ね。さて、その罠を川から引きあげ家まで持って帰るのだが、自転車を全力で漕いで30秒くらい。その間ずっと水が漏れてしまう。無論、水が沢山漏れれば魚が死んでしまう。水を入れたバケツに入れて持って帰るという案もあったのだが、重さで取っ手が取れてしまう。たらいに入れようにも、幼い私達には重すぎた。よって、ペットボトルの水が無くなる前に、一人が自転車で家まで全力疾走するという方法をとっていた。

 

 とまぁ、正直言えば今の話はする必要は無かったのだけれど……私達があの川で魚を捕獲していた際に、同じシマで似たような事をしていた内の一人が先程話したカップルの彼氏の方だった。橋から川をじっと見つめているその様は、あの頃見た景色と全く同じだったのだ。反射的に

 

「魚釣りデートか?!?!?」

 

と心の中で叫んだ私とは裏腹に、友人は「へぇ、男子の方が後ろに乗ってんのか……」と冷静だった。そうね、尻に敷かれてそうね……

 私は完璧に、魚釣りデートで間違いないと思うな!!

 

 後日あれは確実に魚釣りデートだとクラスメイトに言いふらす私に朗報が届く。

私が通った時間の一時間前、クラスメイトが同じ場所を通った時、全く同じ状態の彼らを発見したらしい。一時間。一時間である。思い出して欲しい。ペットボトルの罠を仕掛けてから獲物が掛かるのに、一、二時間を要する。

 

 

 

 それ、完璧に魚釣りデートじゃん……?

 

 

 

 

 

※以上の文章は、クラスメイトから満足な受けを得られなかった為(というか全くウケ無かった為)ムキになった私が、心情を交え適当に再編集したものです。

サブカル女子がなるべくサブカルでない本をおすすめする Part1

読書グループに登録したのでおすすめの本を紹介しようかな。ちなみにタイトルは嘘です。全力で私好みの本を選んでいくので、サブカルかどうかは分かりませんが、サブカルでない本をおすすめする努力はしていません。

 

今回は伊藤計劃氏の代表作、長編SFを3冊紹介します。

ではどうぞ!(定型文)

 

 

 

 

 

虐殺器官   伊藤計劃

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 計劃氏の処女作、長編SF小説です。ゼロ年代日本SFのベストに選ばれています。グロが苦手な人は注意ですが、人の刹那的な死が非常に鮮やかに、アメリカ映画のワンシーンの如く描かれています。必要以上に人をいたぶるグロというより、結果的な、経過としてそうなってしまったグロって感じです。単行本版の表紙はとてもかっこいいのですが、現代を生きる中学生としては文庫版を見たら読もうとは思いませんね。絶対。しかし、いざ読んでみると文庫版の表紙が"正"だったのかもしれない……と思い悩みます。この人達はかっこよすぎた。

 あまり予備知識を持った状態で読んで欲しくないので内容は書きませんが、オリジナル用語がとても興味をそそります。イルカの遺伝子組み換えでできた人工筋肉に、麻酔技術の一つの痛覚マスキング……

 読み終えたあと、貴方は虐殺の文法を見つけられるのでしょうか。

 劇場版アニメ化ではかなり豪華なスタッフ、キャストが揃っています。主人公は中村悠一さんですよ……ちなみに、R15指定なので私は1年半待つハメになりました。チクショウ!

 主題歌・リローデッドはEGOISTが歌っており、そのプロデュースをしているsupercellのメンバーのredjuiceがキャラクター原案を担当しています。豪華でしょ? 

 全くあとの話を聞かないけれど、アメリカで実写映画化をするとの噂もあるので、これからハマって頂いても大丈夫ですよ、きっと。(制作会社が倒産してしまったとか内緒)

 

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ハーモニー   伊藤計劃

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 計劃氏が闘病中に書き上げた作品です。長編SF。日本SF大賞を受賞されています。

 彼の作品は全て一人称視点で描かれているのですが、前作とは打って変わって、世界観が180度ガラッと変わります。登場人物の名前も個性的で、発音しにくいです。これも予備知識無しで読んで欲しいです。どうしても訳が分からなかったらそれは今の貴方ではどうしようもないので、何年か経ってから、またページをめくってみて下さい。私はありえないくらいのスピードで読破し、ラストの衝撃で何日も意識がどこかへ飛んでいってしまったような感覚に襲われました。初めて読んでから3年が経ちましたが、未だに忘れることが出来ずにいる作品です。

 舞台は体に埋め込んだナノマシンによって病気が根絶され、嘘に塗れた優しい世界、なのですが、彼は肺癌で若くして亡くなっています。理想的な世界を描きたかったのかな?と思えば主人公はそんな世界に疑問を持ち、あるべき姿では無いとします。闘病生活の中、彼は何を思い何を理想としたのでしょうか。

 文庫版の装丁が本当に本当に大好きです。単行本版も、メディアミックスが始まる前に出版されたものは真っ白なものもあるんです。作品の良さを最大限に引き出している最高の装丁です……!

こちらもまた劇場版アニメになっています。声優の上田麗奈さんの演技が素晴らしすぎる……今にも消えてしまいそう。主題歌・Ghost of a smileはEGOIST、キャラクター原案はredjuice。主題歌についても本編と深く関わりがある(と、思う)ので是非聴いてみてください。というかEGOISTの曲にハズレが無いのはどうして……?

 

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屍者の帝国   伊藤計劃/円城塔

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 計劃氏の遺作。30ページ程のプロットを元に、同じ経緯でデビューした、盟友・円城塔氏が書き上げました。長編SF。日本SF大賞特別賞を受賞されています。単行本版の表紙から分かる通り、こちらも劇場版アニメ劇をしています。全体的にスチームパンクな世界観です。正直映画化に1番向いてると思いました。劇場版は結構原作改変されてます。劇場版だけ見た人は意味わかんないんだろうな……原作から入るとわかりやすさ2倍みたいな感じです。

 死体を働き手として使う事が当たり前になった世界が舞台なのですが、相棒がゾンビです。物語を全て書き記す事を役目としていますが、劇場版ではその役割が大きく変わっていましたね。他に登場人物の死に方が変わってたりアレレ〜〜〜

 様々な作品のパロディが含まれてて、分かる人は読んでて楽しいと思います。円城氏の著作を履修出来ていないので、はっきりとした作風が分からないのですが、計劃氏が好きな人は絶対好きだと思います……自分の文章を活かしながら人の残した作品を作るって死ぬ程大変で責任を感じると思います。彼、本当に計劃氏の作品が好きだったんだろうなぁ。

 主題歌・DoorはやっぱりEGOISTが歌っています。こう、映画のラストシーンにこの曲が流れると考えると泣けてきます。

 EGOISTの曲が余りにもエモすぎるのでこの3曲のリンクを貼っておきます……他の曲も宣伝したいけど本に関係ないので自重します……表紙は絶対貼りたかったので全て自分の買った本を撮影しました。ネットから拾うのはほら、モラルがね。(普通にこれより画質が悪かっただけ)

 

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https://itunes.apple.com/jp/album/%E3%83%AA%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%83%E3%83%89/1044539541?i=1044539549&uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog

https://itunes.apple.com/jp/album/ghost-of-a-smile/1044539541?i=1044539550&uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog

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マンガ版も非常に出来がいいのでオススメです!分かりにくかったところの補完として、映画との違いを探すのも楽しいですよ……!

 次は西尾維新氏の本の事でも書こうかなー

ネタバレを余りせずに、作品の気になってくれそうな所だけ描くとつまらない文章になりますね。反省です。人が気になりそうなところを、物語に踏み込み過ぎずに……難しいなー。それが出来る人のプレゼンは聞きごたえがあるんですね。

 

 

NieR:Automata 第三者であること

 僕が綴ってきたニーアオートマタ、並びにその前作の考察において、無意味な事など何も無かったのだと熱烈に信じている…が、実際には誰にも相手をして貰えなかったり、そもそもそんな小学生の作文じみた「○○みたいやなぁ」を求めている人間がそんなにいなかったりする。

 僕は僕と同じ体験(同じゲームをプレイし、沢山の感情を得たという意味で)をしたユーザーのプレイ中の行動や感情を知りたくてしょうがない。だから、たとえちっぽけで本編に絡む事は絶対にないであろう発見や、この場面で思わずタオルを目に当ててしまっただとか、そういったことをぽつぽつと呟くブログやツイートを馬鹿の様に漁ってきた。

 1周目、初見からデータを消してから2週目の人、前作未プレイの人、全てのユーザーが楽しめるのなら、全てのユーザーが同じことを感じ取るのか…それはまったく違う話だろう。たった一つの小さな発見で作品に対しての見方が180度変わるなんてザラにあるし、そういった体験を実際に何度もしている。ミスリードなんかに関しては前作未履修の方が引っかからずに真意を突いてしまったりする。僕なんて「あれっ、人類は既に…"まぁいいか"」でプレイを始めている。これは流石に阿呆。

 このゲームの特徴の一つは、前作を履修していなくても楽しめるがしていればより楽しめるという事だ。100%楽しみたいか、120%楽しみたいか。それ以上を求める人は短編小説を買ったり、資料集を買ったり、挙句の果てにはDODをプレイし始めたりするのだろう。DODから追い続けている人や、逆にDODの為にニーアシリーズを追う人も少なからず存在するだろう…というか、もしかしてそっちの方が多いかもしれない。(DODを知らない方はドラッグオンドラグーンで検索してくださいね)

 そんな全ての人…文字通りこの作品に関わる全ての人間である。そういった人達の感想が違うというのは僕が人間という存在があって良かったと思う事の一つ、それもかなりの上位に入る。

 

 僕は今、プレイ当時(惰性でこんな時期になってしまったが、4ヶ月前にトロフィーコンプリートしている)のメモを片手にトイレの中でこの文字列の続きを考えている。単に下痢に悩まされているだけ、だが。詰まるところ読みづらい文章でも許して欲しいという免罪符である。お腹がかなり痛い。惰性と言ったが集中力が著しく足りないのが原因でも間違いではないと思う。トイレの中のような手持ち無沙汰な時しかこういった事が出来ないというのは。

 

 前置きは長くなってしまったが、僕の様な物好きな人がいれば…もしくは今丁度下痢に襲われている人がいれば…少しは価値のある文章になるのかもしれない。

 

「ストーリー中ヨルハ部隊としてではなく、私情だけでの判断が可能な場面が多々あったが、2Bと9Sの意思が違えることは無い」

 

 これは2週目に入ってようやく気付いたことだ。2Bと9Sは性格も考え方も、在り方までもが違う。そんな彼らがいくら大好きなお互いの選択とはいえ、自身の根幹や理念の核を揺るがす事は絶対にないと思うのだ。大好き…代わりの言葉を探したけれど、二人の関係にあてる完全な熟語が僕のボキャブラリーには残念ながら存在しなかった為、割愛させて頂く。

 さて、では何故常に選択肢は一つだったのかというと僕は、これこそが「アンドロイド」つまり機会人形であることの率直な表現だと思っている。人形というのなら、感情は存在しないのだろうが、彼らアンドロイドには感情がある。「感情を持ってはいけない」という禁止は「持つことが出来る」からこそ出来たものだ。アンドロイド達はしっかりと自我を持っているにも関わらず、行動は全て第三者であるプレイヤーに任せるというのだ。これにはかなり衝撃を受けたし、残酷な事だと思う。組織の中でも掟に縛られ、あまつさえゲームの中でも強制的に拘束されているのだ。彼らに自由はない。

 ヨルハ部隊は人類の為にひたすら任務を全うする…という描写が多々みられる。それに対してレジスタンス、つまりヨルハ部隊でないアンドロイド達はいくらか気楽な様に見える。家族を欲しがり、想い合う人をつくり、酒を呑み、感情を持ってはいけないなどという規則すら完全に無視している。挙句の果てには2Bと9Sに「すごい活躍らしいな。この調子で頑張ってくれよ」的な事を言うアンドロイドもいる。丸投げかよ。なるほど、電子ドラッグなんてもの使っててお咎めなしも当然のような気がする。設定資料集によれば「戦争時前線で薬物を使っていた人類の真似」らしいが、やはり彼らの認識はズレている。そもそも、手本にする時代がズレ過ぎているのだ。アンドロイドも人間も頭が足りなかったのだろうか。アンドロイドは建造物についての資料をあるだけ集めて「マンションも太古の遺跡もショッピングモールとやらも、どれが大切なのか分からないから全部保存しておこう」としているのだ。機械生命体に壊されて修復して、また壊されてのいたちごっととはいえ、大昔の遺跡や洞窟なんて機械生命体が手を出せば修復が不可能になるまで破壊出来るはずなのだ。「アンドロイドを殲滅させないこと」とそれは直結するのか、というのも疑問である。これはゲーム上仕方が無いとはいえ、修復のいたちごっこなのに進行中建造物を修理、又はその材料等を運搬しているアンドロイドは一人も見かけなかった。(あれ……?トロッコや列車等の乗り物も……?修……復……?)

 

 

 

「2Bと9Sを助ける為にデータを犠牲にする理由」

 

 僕にはこれが分からない。

 僕の頭が硬いからか、

「2Bと9Sを助けたい→データ犠牲にするで→あれっ?なんでデータが必要なんや?」

となってしまう。

 ヨコオさんはプレイヤーに任せると仰っていたので、とりあえず僕なりに考えてみるけども、これは感情論で片付けて良いものなのだろうか。そこでぐるぐるぐるぐる考えさせようというヨコオさんの意地悪なのだろうか。

 どう考えても、データのサルベージにデータが必要とされる意味が分からない。

 さっき言った気もするけれど、前作と違いキャラ=プレイヤーでは無い。「キャラに対して何かしたいという気持ち」は共通ではあるが、キャラクターの在り方が違う。前作ではニーアではなく、カイネを見て選択肢を決めたが、今作では主人公たちを見て選択肢を決めた。(はずである)

 あのシーンで、「2Bと9Sの未来を繋ぎたければデータを差し出せー!」と言われれば前作プレイ済の人は「どうぞどうぞ!」となるだろうし、そうでなくても「まぁいいかな……」と思ってしまうだろう。検索してみたら、「本当に消されるなんて!」と言っている人もいて少し驚いた。もしこれからデータを消すか(差し出すか)消すまいか(差し出すまいか)悩んでいる人がいたら参考までに、貴方がデータを差し出そうが二人とA2の運命は変わらない。僕達は第三者であり、彼らはあやつり人形なのだ。彼らを動かす者達はプレイヤーの数だけ存在する。

 

「フェードアウトの不快さ

作中、"死"という形でフェードアウトするキャラクターがそれなりに存在する。完結、と取れなくもないけれど、そのキャラが紡いだのは本当に物語だったのだろうか?というキャラが。

 例えばどうしても家族が欲しかった男性アンドロイドは、クエストの完了と共にフェードアウトしていった。彼にとっての一生は、アンドロイドとして終わらない戦いに身を投じる中、わずかな時間を憧れの家族と過ごせた。それは間違いでは無い。確かに、彼個人の物語が存在していた。 しかし、僕たちプレイヤーにとってはメインストーリーの踏み台と言ってしまっても良いように思える。2B、9Sでさえ見聞きした経験であるのに。ストーリーの構成上、沢山の伏線を散りばめなければいけない……というかそれはほとんどのゲームに相当する事ではあるが、回収してめっきり話が出てこないと言うのはかなり恐ろしい事だと思う。やっと回収された伏線についての説明があるかと思いきや、ばっさりカットを喰らう。僕には彼らが、プレイ中感じた正体不明の不快さに繋がっているように思えた。

 

 

 

 

 

結局書きたいことの半分もかけていないけれど、これ以上熟成させると公開するのが恥ずかしくなりそうだ。とりあえずの僕の気持ちを、少なくとも半年間抱き続けた感情をインターネットの海に吐き出そう。

 

 

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紫の空

 瞳島眉美のビジュアルが明かされた時、今までの誰よりも鮮やかな恋をした。

 世界で1番その目に映るものの多いまゆのその目を見た時に、あぁ、こうだったのだと

文字だけで観せられていたあの目がこちらを見ているのだ。

 

 まゆこと瞳島眉美は、私と同年代のクラスでそれほど目立つことも無いような、西尾氏が好みそうな(褒め言葉である)一般の女子からは少し逸脱した性格の持ち主である。

 

 美少年探偵団は、そのうち履修しようとは思っていた。思っていた。(2回目)

 友人に「主人公がお前に似ている」と言われ、積読を全て机の端に追いやる結果となった。

 そこで私を虜にしたのが、瞳島眉美その人である。強く美しく、どこまでも少年な女の子。

 

 今回はまゆがどれだけ素敵な女の子であるかという独り言のようなものなので、各メンバーと小説の内容については割愛させて頂く。

 簡単に言えば、この小説のジャンルは西尾節全開の爽快青春ミステリーだ。青春……ミス……テリー……?疑問を持ってはいけない。まぁ西尾氏の小説に多いパラレルワールド・登場人物ほとんど超能力持ちとかでは無いので読みやすいかもしれない。

 

 結果的にまゆは私に似てなんかいなかった。何より彼女は美しい。そして強い。強い美しい女性の元には多くの人が集まってくるものだ。しかし、彼女は少年なのである。彼女の元へ辿り着けるのは、少年の中の、強く美しい女性である、彼女を見つけられた人間だけなのだ。 

 すごい、綺麗だ、そんな安直な言葉しかかけられなかった彼女の瞳を「美観」だとし、美しいと褒めたたえてみせた彼らの仲間になるのは、ずっと前から決まっていたかのように思える。

 

 彼女の事を大好きになって以来彼女の事をまゆと呼んでいたが、ソーサク君が彼女をまゆと呼ぶことが発覚した。なんか……嬉しい。

 幼く、脆く、でも強くて美しい。そんな彼女の瞳は何色をしているのだろう。その瞳で何色の世界を見ているのだろう。宇宙のように捉えようのない……捕えることのできないものだとばかり想像してきた。

 この紫が全てを物語っている。

 あの日見た星は、貴方だけのものではないのだと。

 貴方の瞳を通して、あの星は永遠になる。寂しい浪漫の星は、もう涙を流す必要は無い。