RUIN

さよなら、月の

紫の空

 瞳島眉美のビジュアルが明かされた時、今までの誰よりも鮮やかな恋をした。

 世界で1番その目に映るものの多いまゆのその目を見た時に、あぁ、こうだったのだと

文字だけで観せられていたあの目がこちらを見ているのだ。

 

 まゆこと瞳島眉美は、私と同年代のクラスでそれほど目立つことも無いような、西尾氏が好みそうな(褒め言葉である)一般の女子からは少し逸脱した性格の持ち主である。

 

 美少年探偵団は、そのうち履修しようとは思っていた。思っていた。(2回目)

 友人に「主人公がお前に似ている」と言われ、積読を全て机の端に追いやる結果となった。

 そこで私を虜にしたのが、瞳島眉美その人である。強く美しく、どこまでも少年な女の子。

 

 今回はまゆがどれだけ素敵な女の子であるかという独り言のようなものなので、各メンバーと小説の内容については割愛させて頂く。

 簡単に言えば、この小説のジャンルは西尾節全開の爽快青春ミステリーだ。青春……ミス……テリー……?疑問を持ってはいけない。まぁ西尾氏の小説に多いパラレルワールド・登場人物ほとんど超能力持ちとかでは無いので読みやすいかもしれない。

 

 結果的にまゆは私に似てなんかいなかった。何より彼女は美しい。そして強い。強い美しい女性の元には多くの人が集まってくるものだ。しかし、彼女は少年なのである。彼女の元へ辿り着けるのは、少年の中の、強く美しい女性である、彼女を見つけられた人間だけなのだ。 

 すごい、綺麗だ、そんな安直な言葉しかかけられなかった彼女の瞳を「美観」だとし、美しいと褒めたたえてみせた彼らの仲間になるのは、ずっと前から決まっていたかのように思える。

 

 彼女の事を大好きになって以来彼女の事をまゆと呼んでいたが、ソーサク君が彼女をまゆと呼ぶことが発覚した。なんか……嬉しい。

 幼く、脆く、でも強くて美しい。そんな彼女の瞳は何色をしているのだろう。その瞳で何色の世界を見ているのだろう。宇宙のように捉えようのない……捕えることのできないものだとばかり想像してきた。

 この紫が全てを物語っている。

 あの日見た星は、貴方だけのものではないのだと。

 貴方の瞳を通して、あの星は永遠になる。寂しい浪漫の星は、もう涙を流す必要は無い。